ぜんそくの治療 今昔

ぜんそく(喘息)とは、息の通り道である「気道」が狭くなって、息苦しさや咳症状が出る病気です。
なぜ気道が狭くなるかというと、気道が腫れているから。
気道が腫れる病気でいちばん身近なのは「上気道炎」いわゆるカゼ。カゼとは喉や鼻が腫れる病気ですが、息の通り道「気道」の入り口である喉・鼻の炎症が、気道の奥に広がって、気管→気管支まで腫れると、息苦しくなったり咳が止まらなくなったりします。
普通は、カゼが治ったら炎症もおさまるのですが
喘息とは、カゼが治っても気道の炎症が続いていたり慢性化している病気です。
ちょとしたことで咳が出たり息苦しくなったりします。

喘息の薬を拒否する患者さん

本内容はフィクションです。
学術的正確さよりも患者さんに納得してもらえることを優先したお話になっています。

初めて当薬局をご利用になる方です。

こんにちは

喘息の薬が処方されていますね。

こちらのお薬ですが、これまで使っておられましたか?

いいえ、初めてです。

息苦しかったり咳が止まらないといった症状がおありなのですね?

ええ…そうです。

ではこちらのお薬の使い方をご説明します。

このお薬は飲み薬ではなく、粉の薬を吸い込むタイプで…

と、ご説明始めようとしたところ、突然

喘息の薬は、ぜったいにイヤよ!

それまでは物静かで理知的な雰囲気のご婦人だったのですが。とつぜん拒否の言葉を繰り返し、説明にもまったく耳を傾けてくださらなくなったんです。
結局「あなたを困らせるつもりはないから。薬は一応もらっておきます。」と
お持ち帰りになったのですが
これでは薬局の機能を果たせていません…

喘息のイメージ 昔は悪かった

この患者さんのお話をうかがうと
幼いころに仲良しのお友達が喘息で命を落とした という悲しい体験をなされて。
しかも亡くなった原因は、喘息そのものではなく喘息治療薬の副作用だった。と。

だから、この方にとって「喘息の治療薬」というワードは、幼いころの悲惨な体験を思い出す引き金になってしまったのでしょう。

初っ端に「喘息の薬です」と言ったのが悪かったのかも…

この方の年齢から推察しますと、当時の喘息治療には麻薬成分や覚せい剤成分もつかわれていましたから、副作用も相当のものだったでしょう。

言わずもがなですが…覚せい剤成分は依存性の危険がありますし、麻薬成分はむしろ喘息が悪化することが現在ではわかっています。

そういえば昔の映画やテレビドラマでは、喘息を不幸の象徴のように描かれていたりします。
”喘息は不治の病であり、苦しんで死ぬ”
というイメージが、昔はあったのかもしれません。

現在の喘息治療薬は、怖くありません!

そんな怖い薬が使われいたのはずいぶんと昔です。
それでも長らく、喘息の薬には”怖い”というイメージがつきまとっていたのでしょう。”薬に頼るのは良くない”という風潮があって、発作でどんなに苦くても我慢を強いられた患者さんが珍しくなかったようです。

ですが!今や、喘息治療はおおきく変わっています。
発作は我慢するものでない。むしろ我慢は厳禁で、発作は軽いうちに鎮めなくてはなりません。
発作の予防こそが最大の治療。

ですから、発作を予防する薬が、現在の喘息治療の主流であるのです。

「元気なのに、治療を続けないといけないの?」

発作が出ていないときって、自分が喘息であることを忘れてしまいますよね。
「喘息?大丈夫。もう治ったよ」
って思っちゃいます。
だから”薬で発作を予防できている”という実感を持ちにくくて
元気なのに何で薬を続けなきゃだめなの?と思ってしまう。
効いてるかどうかわからのに、むしろ副作用のほうが心配だよ という不安。
あるでしょう…

現在使われている薬はだいたい三十年ほど使用実績がありますが、副作用の心配はまずありません。(ただし適正な使用が前提)
体質的に薬が合わないケースも、なくはないでしょうから、治療を進める際には体調の観察を注意深くするべきです、が
これはどんな病気のどんな治療でも同じこと。喘息治療が特に怖いわけじゃないです。

そしてこれが重要!
治療を継続しましょう。お医者さんが「治療を止めても良い」と言ってくれるまで です。

治療を継続していただくために

薬剤師が出来ることは何かしら。

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