「石灰、売っていますか?」と、お客さんよりお問い合わせがありました。
石灰?…園芸肥料ならば園芸店、建築資材ならばホームセンターにあるのかしら。
わざわざ薬局に来られたということは、肥料でも資材でもない石灰
ー酸化カルシウム、あるいは水酸化カルシウム なのでしょう。
用途を伺ったところ、コンニャク芋からこんにゃくを作るのだそうです。
化学薬品の意外な使い道
蒟蒻作りに必要な薬品
蒟蒻の製造には水酸化カルシウムが必要なのですね…知りませんでした。
水酸化カルシウムは、消石灰とも称される化学薬品で
学校のグラウンドに白線を引くのに使う、あの白い粉がそうでした。
”そうでした”…というのは、現在は使われていないからで
代わりに炭酸カルシウムが使われているそうです。
というのも、水酸化カルシウムはアルカリ性が強いので
触ると皮膚が荒れたり、目に入ると失明の恐れがあって
子どもの手が届くところに置くのは危険 と思われたのでしょう。
石鹸作りに必要な薬品
せっけん作り教室の講師をされている方へ、苛性ソーダを販売したこともあります。
苛性ソーダとは水酸化ナトリウムのことで
「毒物および劇物取締法」により劇物に指定されています。したがって購入の際は身分証明書と印鑑が必要です。
苛性ソーダ=水酸化ナトリウムは、アルカリ性がひじょうに強く
絶対に素手で触れてはいけません。扱いを間違えるとたいへんに怖い薬品ですので
薬局(販売する側)にとっても、身元の知れない人の手に渡るのは非常に怖いです。
アクアリウム愛好家へ
観賞魚の病気対策に使うからと
”ある薬品”の取り寄せ依頼を受けたこともあります。
その薬品、効果があるのは確かなんですが、濃度を間違えるとお魚さんも死滅してしまう。
お魚さんを愛する人が地獄を見ることになり兼ねません。
人体にも有害であるので、もし悪用されたら販売した店も罪に問われかねない。
リスクがあるので、おそらく今だったら購入を希望されてもお断りするでしょう。
昆虫標本を作るのに必要だということで、ある薬品の取り寄せを依頼されたこともありますが
それも”危険”な薬品でした。
自然派生活には、化学薬品の知識も必要?
こうしてみると
- せっけんや化粧品の手作り
- 食品の手作り
- 植物・動物の育成
…など、「スローライフ」と言われるような生活には
意外と化学薬品の知識が必要なんだな~と思います。
「怖い」とか「危険」とか、散々と連発しましたが
正しい扱いをすれば
自然・天然のチカラを上手く引き出す役目を果たしてくれます。
お掃除なんかでも、市販の洗剤を使う代わりに
重曹・クエン酸・セスキ炭酸ソーダ
などを、汚れの特性に応じて使い分けると良い と言われますね。
正しい使い方を学び、安全に細心の注意を払って、活用してほしいと思います。

でも正直なところ…
毒物・劇物は販売したくないです…
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